鶴岡市で歯周病に取り組む石田おさむ歯科医院は歯周病、インプラント、予防を専門としています
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歯周病と糖尿病

歯周病と糖尿病

歯周病は歯周病菌の感染による口腔感染症です。

歯周病菌は歯と歯ぐきの間に入り込んで、バイオフィルムという細菌の塊を形成します。バイオフィルム内では様々な細菌が歯肉の溝からにじみ出る浸出液や血液を代謝して増殖します。

人間の身体には、細菌から身を守るための防御機構が存在しますが、歯周病菌はこの防御機構をたくみに潜り抜け自分たちに都合のよい環境を構築します。

これらの歯周病菌は、生き物ですから代謝産物(排泄物など)を排出したり、細菌の体内から毒素を放出したりします。これらの物質にさらされることで歯肉が炎症をおこし歯周病の初期段階である歯肉炎を発症します。

歯肉炎が進行すると歯肉の下にある骨(歯槽骨)が溶解します。骨の細胞は、溶けたり再生したりを常に繰り返していて約半年ほどで新しく入れ替わる(リモデリング)と言われています。歯周病の場合では、このバランスが崩れて骨が溶ける方向(骨吸収)にばかり進むため歯を支えられなくなるわけです。

歯周病と全身疾患について

歯周病は全身疾患とのかかわりが深く、糖尿病、肺炎、早産、低体重児出産などを引き起こす可能性があります。

身体の防御機構を担う細胞であるマクロファージやリンパ球は、歯肉溝でバイオフィルムを形成している歯周病菌を敵と判断し酵素を産生します。歯周病菌は細胞壁にLSPという菌体内毒素を保有していて、マクロファージがこれに過剰反応を示しTNF-αと言われる腫瘍壊死因子が増加します。その結果、インスリン抵抗性が促進され糖尿病が悪化しやすくなります。

また、糖尿病を抱えている場合には好中球の機能が低下し、マクロファージが活性化します。そのため、炎症性のサイトカインが増え歯周病の症状も悪化するわけです。

歯周病の人は糖尿病が悪化しやすく、また糖尿病の人は歯周病が悪化しやすいというメカニズムが体内で生じているのです。

臨床的には糖尿病の方が、歯周病治療後に糖尿病治療薬の量が減ったというケースを何例か経験しています。

糖尿病を抱えている人はどのくらい?

糖尿病を抱えている方は全国に約740万人、歯周病を抱えている方は約8,000万人いるといわれています。両方の疾患を併発している方も少なくないはずです。これらの疾患を有している方の受診率(実際に治療を受けている人)はまだまだ低く、歯周病に関しては約5%程度と言われていて残りの95%の人は歯科を受診していません。

歯周病の治療は全身疾患の改善や成人病予防にもつながり、健康寿命を延ばすという点からも内科的疾患と同時に治療を行うことはとても重要なことだと考えます。

第6番目の合併症

歯周病は糖尿病の第6番目の合併症であることをご存知でしょうか。

糖尿病の合併症

1.糖尿病網膜症   (失明)
2.糖尿病腎症    (腎不全)
3.糖尿病神経障害  (下肢切断)
4.糖尿病足病変   (歩行障害、下肢切断)
5.動脈硬化性疾患  (狭心症、心筋梗塞、脳卒中)
6.歯周病      (歯の喪失)

糖尿病の合併症には上記のように様々な障害が生じることがわかっていますが、糖尿病そのものより合併症が日常生活に与えるダメージが多きところも周知のことと思います。

健康な方より歯周病の罹患率や重症化率が高い

糖尿病で血糖値が上昇するとコラーゲン合成や微小循環が阻害されたり歯周組織が傷害受けます。そのため、健康な方より歯周病の罹患率や重症化率が高いのです。

糖尿病の方の口腔内環境としては、傷が治りにくい点や細菌感染に弱い点が挙げられます。また、唾液分泌量も低下傾向にあり歯垢が堆積しやすい点も特徴です。総じてむし歯にも罹りやすいし歯周病も進行しやすいということです。

最後は歯を支えられず喪失する

歯周病は歯ぐきの炎症から始まって歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。支えきれないところまで進行すると歯の喪失につながります。

お口の中でいえば咬み合わせが損なわれて機能障害を呈しますが、全身疾患とも密接に関連しており健康をも害する疾患であることを認識して早期治療と予防につとめる必要があります。

歯周病と糖尿病の関係性

TNF-αという物質

糖尿病の発症にはTNF-αという物質が関係しているのですが、このTNF-αという物質は歯周病に罹患すると血液中の量が増えてきます。

TNF-αは膵臓から分泌されるインスリンの働きを妨げる物質で内臓脂肪型肥満の場合にも脂肪細胞からこのTNF-αが分泌されてインスリンの働きを低下させることがわかっています。飲みすぎ食べ過ぎ、運動不足で体重オーバーの人は糖尿病のリスクが高いということです。

国民の8割が罹患

歯周病は国民の8割以上が罹患していると言われていますが、これはひとえに自覚症状がきわめて軽いために放置する方がとても多い病気であると考えられます。歯周病は歯の周りの組織が慢性的に炎症を起こす病気であるため、治療せずに放置すればその間中、何年・何十年と歯周病菌や炎症に起因する物質を産生しつづけます。

糖尿病と歯周病の関係性

このことは歯の周囲の組織がダメージを受けるばかりでなく、糖尿病を悪化させるTNF-αを体中に送り続けることになります。糖尿病と歯周病の関係性が深い要因でもあります。

また、生活習慣病と考えられる内臓脂肪型肥満も糖尿病を悪化させるTNF-αの脂肪細胞からの産生が増加しますから、歯周病治療と生活習慣の見直しは糖尿病の改善に重要な意義があるのです。

歯科と内科の連携

当院でも糖尿病治療を長年受けている方が重度の歯周病で来院されましたが、その方の歯周病治療を行った後の問診で、内科で血液検査の数値が改善し糖尿病治療薬の数が減ったと大変喜ばれた方がいました。

食習慣の改善や運度を取り入れるなど、生活習慣の改善も大切で医科歯科が連携した治療の取り組みも重要です。

糖尿病と歯周病の関係性

  • 糖尿病の人は歯周病の罹患率が高い。
  • 糖尿病の人は歯周病がより重症化しやすい。
  • 糖尿病の罹病期間が長い人ほど、歯周病の罹患率が高い。
  • 血糖コントロールがよくない人は歯周病がより重症化しやすい。
  • 歯周病が重症化している人ほど血糖コントロールがよくない。
  • 歯周病の人は糖尿病の罹患率が高い。
  • 歯周病の人は糖尿病でないとしても糖尿病予備軍であることが多い。
  • 糖尿病の人が歯周病を治療すると、ヘモグロビンA1cが改善することが多い。

       (日本大学歯学部保存学教室歯周病学講座 伊藤公一教授  さかえ8月号より引用)

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