鶴岡市で歯周病に取り組む石田おさむ歯科医院は歯周病、インプラント、予防を専門としています
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歯周病と全身疾患

歯周病と糖尿病対策

歯周病と糖尿病との関連性

歯周病と糖尿病との関連性は近年明らかにされつつありますが、大学病院や研究施設でも研究が進んでいるようです。

山形大学医学部では、COE研究(文科省の大規模重点研究の一種)の一環として、地域住民の糖尿病リスク因子を調査する研究に取り組んでいて、内科医師を中心とした検診チームが、県内のある町の住民を対象として生活習慣病検診を行っているようです。学校の体育館を会場として多くの住民が参加し、同時に採血をして糖尿病のリスク因子となりうる遺伝子多型の解明も行なっているそうです。

糖尿病患者には歯周病が進行している人が多い

糖尿病と歯周病の関連からすると、糖尿病患者には歯周病が進行している人が多いという報告や、歯周病の治療により糖尿病も改善したという臨床報告からすると、両者の関連性が示唆されていますが詳細については不明な点もあるようです。

当院でも糖尿病治療を長期にわたって受けてきた方の歯周病治療を行って口腔内の状況が改善したのち、内科での血液検査結果が改善していて糖尿病治療薬の量が減ったというケースを何例か経験しています。

山形県歯科医師会では歯周疾患検診事業を行っていますが、各自治体でも早朝検診や節目検診などの事業と並行して歯科検診を行ったり、歯科の受診を促す啓蒙活動を行っているようです。

80歳で20本の健康な歯を維持

8020運動として80歳で20本の健康な歯を維持しましょうという厚労省のアナウンスは国民に広く知れわたるところでありますが、糖尿病との関連性が深いという点についてはまだまだ知られていない部分が多いようです。

健康診断や人間ドッグに歯周疾患検診を併せ行うことで、包括的にまた全人的な医療が実践されていくのではないかと考えます。検診の際に口の中まで見せたくないという市民の方の意見もあるとのことですが、プライバシースペースの設置や歯周病と全身疾患との関連性を周知させる啓蒙活動に力を入れて欲しいところです。

歯周病で脳梗塞に

広島大学の細見直永先生(脳神経内科)らの研究

広島大学の細見直永先生(脳神経内科)らの研究で、脳梗塞の患者さんは歯周病菌に感染している割合が高いことがわかったそうです。

歯周病菌が血液を通じて全身をめぐり、脳梗塞の原因となる動脈硬化を引き起こしている可能性があるという研究成果が、日本脳卒中学会で発表されました。

研究グループは、脳梗塞患者132人と脳梗塞でない人111人の血液を調べ、歯周病菌に感染しているかどうかを調べて歯周病菌の量の平均値を比べたところ、脳梗塞患者は脳梗塞でない人より1.2倍高かったそうです。

脳梗塞は大きく分けて

  1. 頸動脈などの太い血管が動脈硬化などで詰まるタイプ
  2. 脳の細い血管が詰まるタイプ
  3. 心臓内でできた血栓が脳血管をふさぐ

という3種類があって、このうちの1)太い血管の動脈硬化が原因で起きる脳梗塞患者は、脳梗塞でない人に比べて歯周病菌の量が1.4倍と、他の2タイプの脳梗塞より高かったそうです。

動脈硬化や脂質異常と歯周病菌とのかかわり

細見先生らはさらに、脳梗塞の原因となる動脈硬化や脂質異常と歯周病菌とのかかわりを調べ、頸動脈の直径が75%以上詰まっている74人とそれ未満の169人を比べたところ、詰まっている人は歯周病菌の量が1.4倍、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールの値が高い脂質異常症の人はそうでない人より1.5倍高かったという結果を報告しています。

歯周病は30代以上の8割(テータによっては成人の9割以上)がかかっているとされています。細見先生は「物が食べられない、見た目が悪いという理由だけでなく、脳梗塞の発症を防ぐためにも歯周病の治療が必要だ」と述べられています。

海外の研究では、歯周病菌が歯茎から血液を通じて全身をめぐり動脈硬化を起こし、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因の一つになっているとされる。血管が脂の塊で詰まっている部分に歯周病菌が多く見つかったとする報告もあります。

歯周病と脳梗塞のかかわり

歯周病と脳梗塞のかかわりについては、米ハーバード大のグループが1986年から12年間かけて、40~75歳の男性4万人を追跡調査し、歯の数が24本以下になった人は、25本以上残っている人より、脳梗塞になる危険性が1.5倍高かったと報告しています。

大学病院や歯科を併設している病院では

大学病院や歯科を併設している病院など医科と歯科がタイアップしている場合、大きな外科手術を予定している患者さんには、まず歯科受診が行われ口腔内のむし歯や歯周病の治療を行い、全身疾患のリスク管理をしているところが増えているようです。大学勤務時代にも心臓手術を控えた患者さんが、医学部付属病院から歯科検診依頼で外来を受診するというのがルーティンになっていました。

現在、日本人の歯周病に罹患している方のうち、実際に歯科医院に通院されている方は1割程度と言われています。残り9割の人が歯科を受診し、口腔環境改善と全身疾患の予防につなげることができればウェルエイジングの一役を担うことができます。そのためにも当院では積極的に情報提供していきたいと考えています。   (朝日新聞より一部抜粋)

歯周病と骨粗鬆症

歯周病と骨粗鬆症との関係について

歯周病は歯槽骨吸収を伴い、重症の場合は歯を失う疾患ですが骨粗鬆症との関係性も重要視されてきており、愛知学院大学歯周病学講座野口先生らは、歯周病と骨粗鬆症との関係について長期にわたり研究をされています。

骨粗鬆症は、米国国立公衆衛生研究所のコンセンサス会議で『骨強度(骨密度と骨質)の低下によって骨折リスクが高くなる骨格の疾患』と定義されています。骨強度は、従来重視されていた骨密度と骨質の双方を総合的に評価して決定されています。

骨粗鬆症と歯の喪失に大きく寄与する歯周病との関係は、1960年代後半より骨粗鬆法や骨量減少症に起因する全身の骨量減少と歯周炎に起因する局所の歯槽骨吸収に関心がもたれ、その因果関係を解明するために多くの研究が報告されてきました。

歯周病と閉経後骨粗鬆症の関係

日本人における歯周病と閉経後骨粗鬆症の関係を把握するために、骨粗鬆症患者の歯周病態を調査し、骨粗鬆症群が対照群に比べ歯肉の溝の深さを調べるプロ—ビング時の歯肉出血(BOP)が高く、歯周病が進行傾向にあると報告しています。また、骨粗鬆症に関する自覚症状のない閉経後女性歯周病患者の骨粗鬆症所見を調査し、腰椎骨委縮が進行しているほど歯槽骨吸収が高い傾向を示すことも報告しています。

エストロゲン分泌の低下に起因

閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能の低下によって発症し、女性ホルモンであるエストロゲン分泌の低下に起因するとされています。

エストロゲンは、トランスフォーミング増殖因子のような骨形成性サイトカインの発現を増加させる一方で、インターロイキン1、6(IL-1,6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)といった骨吸収性サイトカインの発現を抑制します。

したがって、閉経後骨粗鬆症と歯周炎の関与するサイトカインは非常に類似しているということです。閉経後女性では、歯周炎の進行過程において、エストロゲン欠乏により顎骨歯槽骨骨密度も減少し、歯周ポケット内では、T細胞やB細胞の異常、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-αなどのサイトカイン、炎症性メディエイターであるPGE2の異常亢進を促し、発症した歯周炎の進行過程にかなり影響を及ぼすことが考えられます。

若いころは問題なくても、更年期中に卵巣機能が低下し、口腔の灼熱感、口腔乾燥症、味覚の変化、口内炎などの症状がおこりやすく、いままでよりもプラ—クに起因する歯肉出血をきたしやすくなること、慢性歯周炎進行が加速されやすいことなどが考えられるわけです。 (臨床栄養Vol.111より)

歯周病は慢性疾患

歯周病は慢性疾患であり長期的に放置される傾向が強いのですが、罹患期間が長ければ長いほど歯槽骨の吸収も進行しているため歯を喪失したのちの顎骨の形態にも影響を及ぼします。臨床的にも義歯患者さんで、歯周病が原因で歯を喪失した方の顎は歯周病以外で歯を喪失した場合よりも骨吸収が進行している場合が多いことがわかっています。

早い時期から歯周病予防を

世界一の高齢社会となった日本ですから加齢変化に伴う骨強度の低下と閉経後女性の骨粗鬆症は顎の骨強度にも少なからず影響を与えていることは多くの研究データからもあきらかになってきています。早い時期から歯周病予防に取り組む必要性があることと骨粗鬆症に対する対応が相互に重要であるということです。

骨粗鬆症対策には投薬治療やホルモン注射、サプリメント服用など様々な方法があるようですが、歯科の立場で注意喚起したい点は、ビスフォスフォネート系製剤(骨吸収抑制剤)を長期的に投与されている方に抜歯などの観血処置を施した場合に、顎骨壊死という難治性の疾患を発症する可能性があります。

ビスフォスフォネート系製剤による治療を受けている方は、歯科受診の際に服薬指示書の提示ないしは注射治療を受けている旨を必ず歯科医師に伝えて下さい。

歯周病から肺炎に

口腔内に歯周病菌が入り込と

歯周病は口腔内に歯周病菌が入り込み、歯周ポケット内で増殖し多様な炎症性メディエイターを産生することで歯肉の炎症や歯槽骨の吸収をきたす疾患ですが、これらの細菌が呼吸器に入り込むことで別の病気をもたらすことがあります。これら歯周病と呼吸器感染に関して国立長寿医療センター病院先端医療部口腔機能再建科の角医師が報告しています。

口腔ケアが脚光を浴びてきた

近年、口腔の健康や咀嚼機能は様々な内科疾患、老化、認知症など、からだ全体の健康と密接に関係していることが明らかになってきました。誤嚥性肺炎や虚血性心疾患など大きな疾患にかかると老化が早まるばかりでなく、命まで落としかねません。その中で、口腔局所疾患の予防のみならず全身疾患の予防の観点から、口腔ケアは脚光を浴びつつあります。

口腔細菌が関与する全身疾患

1.誤嚥性肺炎、
2.感染性心内膜炎、敗血症、
3.心筋梗塞、
4.糖尿病、メタボリックシンドローム、
5.早産、低体重児出産

などがあげられます。

歯周病菌が肺炎の原因になると聞くと驚く人も多いかもしれませんが、最近になって高齢者の直接死因の半数以上を占める肺炎で、歯周病菌が大きく関わっていることがわかってきました。

誤嚥性肺炎について

肺炎は日本人の死因別死亡率の第4位を占め、肺炎で死亡する患者さんの内訳は92%が65歳以上の高齢者で、さらに肺炎の年齢別死亡率は、70歳を超えると急激に増加することが報告されています。高齢者は免疫機能の低下により易感染宿主でもあり、口腔内微生物と全身感染症との関係がとくに誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症の面から注目され、高齢者における誤嚥性肺炎による死亡が社会問題となってきています。

肺や気管は嚥下反射、咳反射など身体が生理的に反応することによって、口腔細菌が侵入することから保護されています。しかし、高齢になるとこれらの生理機能が衰えるため、自らの唾液や消化管内容物を口腔内細菌とともに、慢性的に誤嚥することが多くなります。免疫力の低下した高齢者では誤嚥性肺炎を発症してしまいます。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌

誤嚥性肺炎の原因となる細菌として、下気道に吸引された唾液中の口腔常在菌、特に嫌気性菌が考えられており、その多くは歯周病菌であると言われています。

したがって、誤嚥性肺炎の予防には歯肉縁下も考慮したプラ—クコントロールが必要になります。

また、忘れてならないのが義歯上の付着物、つまり細菌性のバイオフィルムとしてのデンチャープラ—クです。日々の義歯清掃も誤嚥性肺炎予防には欠かせないのであるというわけです。

誤嚥性肺炎は高齢者の寝たきり状態を長期化させる原因として重要な疾患であり、医療費の観点からも見過ごせない社会問題となっています。

誤嚥性肺炎の予防

誤嚥性肺炎の予防には、

1.低下した嚥下反射や咳反射の回復

2.口腔ケアによる口腔の清潔保持

が下気道に落ち込む口腔内の細菌の総数を減少させる有効な方法であると考えられます。

ただし、嚥下反射や咳反射の低下は加齢や疾病に伴う不可逆的な現象のひとつとして考えられるので、回復自体が直ちには困難なものとなっています。そうなると誤嚥性肺炎の予防における現実的で有効な対処法としては口腔ケアに力を入れることが重要だと述べられています。(臨床栄養 vol111)

リハビリ病院や特別養護老人ホームなどへの訪問診療に際して、口腔ケアが不十分なケースを目にしますが、免疫力の低下した入院患者さんや寝たきりの要介護者は口腔と気道の位置がほほ水平になるため口腔内微生物が気管内に不顕性誤嚥される可能性があります。

要介護高齢者の口腔内微生物を検査したところ被験者の66%から肺炎起炎菌が検出されたとの報告から、誤嚥性肺炎をはじめとする呼吸器感染と歯周病とは密接な関係があり、その予防には口腔衛生管理が重要であると締めくくっています。

歯周病と早産・低体重児出産

歯周病と早産・低体重児出産について

歯周病は全身疾患との関わりが深い病気ですが、その中でも女性(特に妊産婦)にとって注意すべき点があります。

それは歯周病と早産との関連性があきらかになってきているということです。

東京医科歯科大学和泉先生、鹿児島大学長谷川先生が歯周病と早産・低体重児出産について述べています。

妊婦さん

早産は妊娠22週以降37周未満の出産をいい、低体重児出産は2,500g未満の出生児の出産の事をいうとあります。胎児の体重が2,500gに達するのは妊娠約34周のため、早産での出生児は低体重児であることが多いわけです。低体重児は出産後に医科的な管理が必要になる場合が多く、成長過程でもさまざまな疾患に対するリスクが高いとされています。

歯周病がなぜ関係するのか?

では、産科領域から遠く離れた口腔の疾患である歯周病が、早産・低体重児出産と関係している可能性があるのはなぜなのでしょうか。

歯周病と早産・低体重児出産との関連性は、1996年に米国Offenbacherらが妊婦あるいは出産後3日以内の産婦に歯周病の検査を行い、口腔内の60%以上に歯周組織破壊が見られた妊婦は、早産あるいは低体重児出産に対する危険率が7.5倍も高かったと報告しています。

その後、歯周病との関連性についての研究報告が提出されているが、実験デザインや加味しているリスク要因の違いにより、その関連性については賛否が分かれているようです。

アジアにおいては長谷川先生らが2003年にはじめて報告されており、切迫流産と診断された医科的に原因不明とされた妊婦と、問題がなかった通常妊娠妊婦を対象に歯周組織の状態などを検査し、切迫流産の妊婦は通常妊娠妊婦と比較し、歯周組織の健康状態が悪化し、口腔内の歯周病菌(Tannerella forsythia)が多く検出され、血清中のIL-8、IL-1βの値が上昇が見られたそうです。

歯周病と早産・低体重児出産に関するメカニズムについては、歯周病が細菌感染による炎症性疾患であるため罹患すると血中に炎症性物質の上昇が見られます。この炎症性物質が分娩にかかわる物質と共通のものが多いとされています。そのため、歯周病の妊婦は分娩期にいたる前に、血中の炎症性物質が早期に上昇してしまい、その影響で分娩時期の前に頸管熟化と子宮収縮が引き起こされ早産となるのではないかと考えれらています。

産科器官への感染は、感染部での早期の炎症性物質の上昇による早産の可能性だけでなく、胎児の発育不全による低体重児出産も引き起こすと言われています。子宮や胎盤から遠く離れた口腔内に存在する細菌が、産科器官に到達する可能性については2007年にLeonらの報告で切迫早産妊婦26名のうち8名の妊婦の羊水に歯周病細菌であるPorphyromonas Gingivalisが検出されました。

歯周病は細菌感染症

歯周病の治療を行うに際しては、歯周病がどういう病気で、どのようにして発症するのか説明しますが、そのなかでも細菌感染症であることから感染経路(どこから感染するのか)を話すことも大切で同一食器(箸やスプーンなど)の使いまわしやコップ・ペットボトルの回し飲み、ペットによる伝播、そして性行為感染があります。

むし歯や歯周病は遺伝性のもので親の歯が悪いため自分の歯が悪い・弱いと思っている方がいるようですが、いずれも感染によるものですので正しい知識を身につけることで治療効果を高めたり予防に繋げることができると考えます。

妊娠中の栄養状態

早産・低体重児出産のリスク因子には、妊娠中の栄養状態もあげられていて、妊娠中の栄養は、妊婦の健康、退治の発育だけでなく、出産後の授乳や育児にまで影響するため重要であると述べられています。妊婦は産科医や栄養士による言えよう指導を受け、妊娠中に必要な栄養をバランスよく摂取することが必要で、最近ではやせ過ぎによる低体重児出産の影響も指摘されています。

過度なダイエットにも注意が必要

妊娠中の太り過ぎは妊娠中毒症の危険因子とされていますが、過度なダイエットにも注意が必要です。口腔内環境の改善は、よりよい食生活にもつながると考えられ、歯科医師と産科医そして栄養士との連携が重要になります。

論文のまとめ

論文のまとめとして、日本は少子高齢社会となり早産・低体重児出産は重要な疾患のひとつとして考える必要があり産科的な疾患と予防・治療が可能な歯周病との関連性が示唆されたことは医科だけでなく社会的にもインパクトのあることとしています。

さらに歯周治療により、早産・低体重児出産のリスク因子が減少する可能性があることは、妊婦にとっても朗報である。また、医療費削減が国の緊急課題となっている現在、早産・低体重児出産の妊娠中、出産後に必要な医療費に比べると、歯周治療にかかる医療費は少ないことも注目すべきです。

妊婦が歯周病と早産・低体重児出産の関連性を充分に理解し、口腔内の健康状態の向上を意識することは早産・低体重児出産のリスク減少につながるだけでなく、同時に生まれてくる子供の口腔内の健康状態の向上に、さらには日本人の全身の健康状態の向上にもつながるのではなかろうかと締めくくっています。(臨床栄養 vol111)

これは歯周病に限らずむし歯でも同じことが言え、妊婦が口腔衛生の向上をはかることで生まれてくる子供へのむし歯菌の感染も低下させることが可能です。

現代では、0歳からのむし歯予防として妊婦の口腔ケアや実際にむし歯菌を減少させる取り組みを推奨しています。子供の健康を考えるならば、病原菌をうつさないことと親としてもリスクを低減させて子供にうつらない口腔環境にすることが重要と考えます。

妊婦さんは気をつけて

歯周病との関連性が高いとされている全身疾患の中で、妊娠と糖尿病に関して岡山大学の産科・婦人科教授の平松祐司先生が日本糖尿病協会の機関誌に特集記事を掲載されていました。

大きく変わった妊娠と糖尿病の概念

妊娠糖尿病診断基準が26年ぶりに改定され、妊娠と糖尿病の概念が大きく変わってきました。

妊娠時に取り扱う対糖機能異常は

1.妊娠前からわかっていた糖尿病

2.妊娠糖尿病

3.妊娠時に診断された明らかな糖尿病

の3つになりました。

妊婦さんが妊娠糖尿病または糖尿病を合併すると

妊婦さんが妊娠糖尿病あるいは糖尿病を合併すると、妊娠中の過ごし方や管理はその妊娠中の周産期合併症だけでなく、本人および生まれてくる子どもの将来の糖尿病やメタボリックシンドローム発症にまで影響するため、充分な知識をもち対応していくことが要求されます。

糖尿病合併症 妊娠の合併症 と妊娠許可基準

妊娠を計画している女性で特に「家族に糖尿病の人がいる」「肥満」「巨大児を出産したことがある」「35歳以上」などのリスク因子を持っている場合は、妊娠前に必ず糖尿病が無いか検査を受けておく必要があります。

もし糖尿病が発見された場合には、表2に示す妊娠許可基準に達するように治療を受け、計画妊娠をすることが何よりも重要です。

歯周病が糖尿病を悪化させる

歯周病と妊娠との関係でいうと妊婦さんが歯周病に罹患していると、早産や低体重児出産のリスク要因となることはすでに述べましたが、歯周病が糖尿病を悪化させ、また糖尿病が歯周病を悪化させることもあることから、多くの人が歯周病に罹患している現状を考慮すると周産期のリスクは複雑さを増します。

糖尿病の改善には栄養管理や生活習慣の確立は必須ですが、糖尿病との関係性が深い歯周病の治療もリスク低減にとって重要です。

早めの歯科受診を!

周産期に歯周病治療や口腔衛生環境を改善することは大切ですが、妊娠中や授乳中は鎮痛剤や抗生剤など胎児や乳幼児への安全性が確立されていないお薬は基本的に処方されません。母体へのリスクを回避することとお子様の健全な発育のためにも、今後妊娠の予定がある方は早い時期から歯科を受診しておくことをおすすめします。

免疫力も歯周病に影響

人間の身体の機能として、外部から侵入する外敵を攻撃・排除するメカニズム(免疫機能)が存在していてさまざまな細菌やウィルス、カビなどから守ってくれています。

バイオフィルムは細菌の塊

身体の中に入り込んで病気を引き起こす微生物を病原菌とすると、これらと戦う細胞が活発に働いてくれれば病気にならずに済み、健康体の場合はこの機能がうまく働いていると考えられます。全身疾患とも深い関連のある歯周病の場合、歯周病菌といわれる細菌が歯肉溝に入り込んでバイオフィルムを形成します。

バイオフィルム排水溝のヌメリのようにこすってもなかなか取れない細菌の塊です。

バイオフィルムは様々な歯周病菌が互いに協力し合って自分たちを守るため強固に繋がり合ったり、人間にとって病原菌と戦ってくれる細胞に見つからないように(あたかも忍者の雲がくれ術のような)する物質を放出したりしてその勢力を拡げていきます。

また、本来の免疫機能で退治できていた微生物も免疫力が低下することにより抑制が働かなくなって発症にいたるところは、医科的疾患の感染症とも同様のことが言えます。

免疫機能が低下して症状が進行

45歳を過ぎた頃に歯を喪失する割合が増えますが、ある一面をとらえると歯周病に罹患していた期間が長くなることで病状が悪化するともとれますし、またある一面では老化により免疫機能が低下して症状が進行するとも考えられます。

医学の進歩は目覚ましいものがありますが、癌治療の分野でも以前は外科治療が主たるものでしたが、化学療法や放射線療法、いまでは免疫療法として癌細胞を攻撃する免疫細胞を強化する治療法なども行われているようです。

お薬を使って菌を退治

歯科にこの考えをあてはめてみると歯周病治療は、グラグラした歯は抜いてしまうかあるいは炎症をおこした歯ぐきをめくってガリガリと歯石を取り除くいわゆる外科処置から、歯周病菌が原因菌ならお薬を使って排除し歯周病を治療しようとする内科的治療(歯周内科)へと移り変わり、さらには低下した免疫力を腑活させて歯周病菌からの攻撃に耐性をもたせる免疫療法を加えた歯周病治療へと移り変わるのではないかと考えられます。

内科的歯周治療

当院でも内科的歯周治療で多くの患者さんの治療を行い、以前であれば抜歯を余儀なくされた歯も抜かずにすんだケースを数多く経験しました。また、今後は歯周治療に免疫 力を腑活させる取り組みを行っていきたいとも考えています。

テレビの健康番組というと、ごく稀な疾患を取り上げて視聴者の恐怖感をあおる内容のものが多くみらるように感じますが、NHKの健康番組『ためしてガッテン』で歯周病についてわかりやすく取り上げられていました。

お役立ち情報として加点方式の歯周病チェック表なるものもありましたので、ご自身の評価をされてみてはいかがでしょうか。

自分でできる歯周病チェック

下記の 9問 のうち、自分が当てはまると思う項目の点数を合計して下さい。

  1. 歯肉がピンク色で引き締まっている・・・・0点
  2. 歯肉が赤色や紫色になっている・・・・・・5点
  3. 歯肉がむずがゆく、歯が浮く感じがする・・5点
  4. 歯みがきすると血が出る・・・・・・・・・5点
  5. 起床時、口の中がネバネバする・・・・・・10点
  6. 歯肉が赤く腫れブヨブヨしている・・・・・10点
  7. 何もしないのに歯肉から出血する・・・・・15点
  8. 歯がぐらついて物がかめない・・・・・・・15点
  9. 冷たい水がしみる・・・・・・・・・・・・15点

合計点数が 0点・・・歯肉は健康

     5~25点・・・軽度の歯周病 かもしれません

    25点以上・・・重度の歯周病 の可能性あり

いかがでしたか?

歯周病は自覚症状のない歯科疾患です。しかも多くの国民が罹患していながら自分は病気じゃないと思っているsilent diseaseです。さまざまなデータがありますが、ほぼ8割の成人は歯周病に罹患していると考えられます。

自分は大丈夫と思っているあなたも、おそらく歯周病かも! 

年に1度の健康診断に歯科検診も加えて、ぜひお近くの歯科を受診してください。

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