コロナウィルス感染対策と口腔ケアの重要性

ニューヨークタイムズの記事に、

最もコロナウィルスに暴露する(いわゆる危険な)職業として

歯科医療従事者があげられています。

 

これは歯科治療に際して、患者の唾液や治療器具から排出される水が

エアロゾルとして環境中に飛沫することからと考えられます。

 

無防備な環境下で歯科治療を行うことは、院内感染のリスクを高めることから歯科では、

すべての患者が何らかの感染リスク(感染症に罹患している)を有しているものとして

感染防御体制を構築するスタンダードプリコーション(標準予防策)を徹底しています。

 

このスタンダードプリコーションは、感染症の有無にかかわらず、

未知の感染症に対しても予防策を講じるという考え方に基づいており、

歯科医院は常日頃から院内感染が起きない様に対策を取っています。

 

例えば、治療の準備として手洗いやサージカルマスク、サージカルキャップの着用、

患者ごとに交換するゴム手袋、より感染リスクを考慮する必要がある場合には

サージカルガウンを着用する。

 

患者には施術前には殺菌消毒効果のある洗口液でうがいをしてもらう。

歯科医師、歯科衛生士による口腔清掃を行ってから治療する。

 

治療に使用する器具は毎回滅菌処理をする。

また、滅菌処理のできないものに関しては

1回ごとの使い捨て(ディスポーザブル)製品を使用するなど、

使い回しによる感染が生じない様にします。

 

コロナウィルスの感染原因と言われているエアロゾルは、

歯科治療で使用する切削器具や超音波歯石除去器具などから出る水が

空間を浮遊することで生じる可能性があるため、

強力な口腔外バキュームと口の中で水や唾液を吸い上げる口腔内バキュームを併用し、

可能な限りエアロズルが浮遊しない様に細心の注意を払っています。

 

また、コロナウィルス感染リスクを下げるためには、

エアロゾルを発生させないために緊急時以外は切削器具や超音波歯石除去器具の使用を控えています。

 

スタンダートプリコーションに加えて、次亜塩素酸水を使用してドアノブやテーブル、

治療チェアの清拭や空間除菌、診療室の常時換気を行う、

患者同士が待合室で同席しない様にアポイントを調整するなどして

三つの密を回避する取り組みも行なっています。

 

現在のところ歯科医院で院内感染が発生したとの報告はなく、

必要以上に恐れることはないと考えられます。

 

また、歯科の重要な役割としてむし歯や歯周病治療、

かみ合わせ機能を回復するためのリハビリに加えて、

口腔衛生環境を整えることでのウィルス感染症や肺炎予防に繋がること、

歯周病の重症化予防により糖尿病やそのほかの内科的疾患の悪化を

抑制する効果が期待できるため、免疫力を低下させないためにも必要に応じて

口腔ケアを受けていただくことも考慮すべきです。

 

新型コロナウィルス感染症に対する院内感染対策について、

動画でもご紹介しています。