「歯石取り」だけでは治らない?歯ぐきの腫れや出血が続く本当の理由

「歯医者さんに定期的に通って、しっかり歯石も取ってもらっている」

「それなのに、歯ぐきの腫れや出血がおさまらない……」

「何年も歯周病の治療を続けているけれど、良くなっている実感が持てない」

そんなお悩みはありませんか?

日々の診療の中でも、このようなご相談をいただくことは決して珍しくありません。

歯石除去は、歯周病治療においてとても大切な治療です。しかし、歯周病が進行している場合、歯石を取るだけでは十分な改善が得られないことがあります。

大切なのは、「歯石があるから取る」ということだけではなく、

「なぜ歯ぐきの炎症が続いているのか」
「歯周ポケットの中で何が起こっているのか」

を詳しく調べ、原因に合わせて治療していくことです。

今回は、「歯石を取っているのになぜ症状が改善しないのか」を、お口の構造と細菌の視点から分かりやすく解説します。

こんな症状やお悩みはありませんか?

・ 定期的に歯石を取っているのに、歯ぐきの腫れや出血を繰り返す

・ 歯みがきをすると血が出る

・ 歯ぐきに違和感がある

・ 最近、口臭が気になってきた

・ 歯が少しグラつくような気がする

・ 歯みがきを頑張っているのに、なかなか改善を実感できない

ひとつでも当てはまる方は、歯石だけではなく、歯周ポケットの深さや歯を支える骨、細菌の状態まで詳しく確認することが大切です。

歯周病の原因は「細菌」です

歯周病は、歯ぐきだけではなく、進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)まで影響する病気です。

「磨き残しがあるから歯周病になる」と思われがちですが、より正確には、プラーク(歯垢)の中に存在する細菌が歯周病の発症・進行に深く関わっています。

歯周病が進行する流れ

① 歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)で細菌が増える

② 細菌の影響によって歯ぐきに炎症が起こる

③ 腫れや出血がみられるようになる

④ 炎症が長く続くと、歯を支える骨が少しずつ失われていく

⑤ さらに進行すると歯がグラつき、最終的には歯を失う原因になる

そのため、歯周病治療では、歯石を除去することに加えて、原因となる細菌が増えにくい環境をつくり、炎症をコントロールしていくことが重要です。

なぜ歯石を取っても改善しないことがあるの?

健康な歯ぐきの場合、歯と歯ぐきの間にある溝は1〜3mm程度です。

しかし歯周病が進行すると、この溝が深くなり、4mm、6mm、さらに重度になると10mm近くに達することもあります。

歯周ポケットが深くなるほど、通常のセルフケアだけでは内部の細菌や汚れを十分に除去することが難しくなります。そこには、大きく3つの理由があります。

① 歯ブラシが届きにくい

歯周ポケットが深くなるほど、歯ブラシの毛先だけではポケット内部の細菌や汚れを十分に除去することが難しくなります。

「毎日しっかり磨いているのに良くならない」という場合でも、決して歯みがきが無駄なのではありません。

セルフケアだけでは届かない場所に原因が残っている可能性があるということです。

② 歯の根は複雑な形をしています

歯科医院では専用の器具を使用して、歯周ポケット内部の歯石や汚れを除去します。

しかし、歯の根にはカーブやくぼみがあり、奥歯では根が複数に分かれているなど、非常に複雑な形をしています。特に歯周ポケットが深い場合には、器具が届きにくい部分が生じることがあります。

だからこそ、治療後にもう一度検査を行い、どの部分に炎症や深い歯周ポケットが残っているのかを確認する「再評価」が重要になります。

③ 細菌は「バイオフィルム」をつくります

細菌が集まると、「バイオフィルム」と呼ばれるぬるぬるとした膜を形成します。身近なものでイメージすると、キッチンの排水口などにできるぬめりに似ています。

バイオフィルムが形成されると、薬剤だけでは十分に除去することが難しくなります。

そのため、歯周病治療では、バイオフィルムを物理的に破壊・除去し、再び形成されにくい口腔環境をつくることが重要です。

「セルフケア」と「歯科医院での治療」の両方が大切です

「歯石を取っているのに良くならない」理由は、ひとつとは限りません。

ご自宅でのブラッシングやフロスなどに改善の余地がある場合もあれば、セルフケアをしっかり行っていても、深い歯周ポケットの中に細菌や汚れが残っている場合もあります。また、その両方が関係しているケースもあります。

毎日のセルフケアは、歯周病治療の大前提です。そのうえで、セルフケアだけでは届かない部分については、歯科医院で専門的な処置を行う必要があります。

「歯医者さんに任せれば大丈夫」でもなく、

「自分でしっかり磨けば大丈夫」でもありません。

患者様と歯科医院が一緒に取り組んでいくことが、歯周病治療ではとても重要です。

まずは「なぜ改善しないのか」を調べることから

当院では、すぐに治療方法を決めるのではなく、まず現在のお口の状態を詳しく検査し、「なぜ歯周病が改善しないのか」を確認することを大切にしています。

当院で行っている検査

検査内容
歯周ポケット測定歯1本ごとに、歯と歯ぐきの間の深さを測定
レントゲン・CT撮影歯を支えている骨の状態などを確認
位相差顕微鏡検査お口の中の細菌の状態を確認
歯周病菌の遺伝子検査(PCR検査)歯周病に関連する細菌の種類や菌数を数値化し確認

こうした検査によって、歯周ポケットの深さや骨の状態、細菌の状態などを把握し、治療方針を考えていきます。
また、治療前後の変化を「数値」や「画像」で確認することで、改善している部分・まだ治療が必要な部分を分かりやすく評価できます。

当院では担当歯科衛生士制を取り入れており、患者様一人ひとりのお口の変化を継続して確認しながらサポートしています。

基本治療を行い、その後に「再評価」します

検査によって現在の状態を把握したら、まずはブラッシング方法の見直しや歯石・バイオフィルムの除去など、基本となる歯周病治療を行います。

そして重要なのが、治療後の再評価です。
「治療したから終わり」ではありません。

・どこまで改善したのか

・どこに炎症が残っているのか

・深い歯周ポケットが残っていないか

を確認します。

基本治療によって改善するケースも多くあります。
一方で、歯周病の進行度によっては、基本治療を行っても深い歯周ポケットや炎症が残ることがあります。
その場合には、その方の状態に応じて次の治療方法を検討します。

深い歯周ポケットが残った場合の治療という選択肢

基本治療を行い、再評価をしても深い歯周ポケットが残っている場合には、状態によって外科的な治療など、さらに奥深くへアプローチする治療が必要になることがあります。

また現在では、状態によっては歯ぐきを切開せずに歯周ポケット内部へアプローチする治療も選択肢のひとつとなっています。

当院では、その選択肢のひとつとして「ブルーラジカル P-01」を導入しています。

ブルーラジカル P-01は、超音波振動とラジカル殺菌を組み合わせ、歯周ポケット内部の治療を行う歯周病治療機器です。

ただし、ブルーラジカルはすべての患者様、すべての歯に行う治療ではありません。

まず検査を行い、基本治療を行ったうえで再評価し、歯周病の進行度や歯周ポケットの状態などを確認して適応を判断することが大切です。

👉 ブルーラジカル治療について詳しくはこちら

「歯石を取っているから大丈夫」とは限りません

定期的に歯科医院へ通い、歯石を取ることはとても大切です。

「ずっと通院しているのに出血が続いている」

「毎回同じところが腫れる」

「何年も歯周病治療をしているけれど、改善しているのか分からない」

という場合には、現在の歯周病の状態を一度詳しく調べてみることをおすすめします。

大切なのは、ただ歯石を取ることではありません。

「なぜ炎症が続いているのか」を知り、その原因に合わせた治療を行うことです。

原因が分かれば、毎日のセルフケアで改善すべきポイントや、必要な治療のステップも見えてきます。

当院では、現在のお口の状態を詳しく確認したうえで、一人ひとりに必要な歯周病治療をご提案しています。

他院に通院中で、「歯周病がなかなか改善しない」「自分の歯周病が今どのくらい進んでいるのか知りたい」という方のご相談も受け付けています。

お気軽にご相談ください。


記事監修者

山形県鶴岡市文園町
医療法人 石田おさむ歯科医院

理事長 石田 修

経歴

経歴
平成7年岩手医科大学歯学部卒業
同学部歯科補綴学第一講座 医局入局
平成10年岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座 助手
平成16年石田おさむ歯科医院開設

所属

・ 日本臨床歯科CADCAM学会
・ 日本歯科補綴学会
・ 日本口腔感染症学会
・ 日本口腔インプラント学会
・ 日本小児口腔発達学会
・ 日本顎咬合学会
・ 国際歯周内科学研究会
・ 日本口育協会
・ 日本糖尿病登録歯科医