健やかなお口の育て方:乳幼児期のポイント(食生活)|鶴岡市の歯医者

健やかなお口の育て方:乳幼児期のポイント(食生活)

 

山形県 鶴岡市 医療法人石田おさむ歯科医院 

歯科医師・院長 石田 修 

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鶴岡市文園町にある石田おさむ歯科医院 院長の石田です。 

子どもの食生活は、お口の発育や全身の健康に大きく関係しています。将来的大人になったとき、口腔機能(こうくうきのう)の低下によりさまざまな病気のリスクが高くならないようにするためには、乳幼児期の成長段階に合わせた適切な食生活によって、きれいな歯並びや口腔機能を獲得していくことが重要です。

今回は、お口の成長に合わせた食生活のポイントについてお伝えします。

※口腔機能とは、食べる(噛む・飲み込む)、話す、呼吸、表情、唾液を分泌するなどの働きやそれに伴うお口周り(唇・舌・頬・顎など)の動きのことをいいます。

 

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INDEX

食生活と食べさせ方

 【母乳時期】

 【離乳食を始めるタイミング】

 【離乳食初期】生後5、6ヶ月頃

 【離乳食中期 】生後7、8ヵ月頃

 【離乳食後期】生後9~11ヶ月頃

 【離乳食完了期】生後12~18ヶ月頃

 【離乳後の食事】

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 食生活と食べさせ方

【母乳時期】

生まれた赤ちゃんは、舌の蠕動運動(ぜんどううんどう)を使って自分で母乳を摂取します。この蠕動運動が舌や下あごを発育させるため、母乳は栄養を摂りながらお口を鍛えるのに 非常に重要です。また母乳には、さまざまな栄養成分のほか、細菌やウイルスなどから守る免疫物質も含まれていますので、栄養の面でもお口の発育の面でも必要不可欠なのです。

しかし、様々な理由で完全に母乳での育てることは難しく、ミルクを使うことが一般的にあります。その際のポイントとして、お口の発育を促す哺乳瓶を使うことです。お口の発育を促す哺乳瓶は、母乳が出る原理を応用しています。それを使うことで母乳を飲むときと同じ舌の使い方をしないとミルクが出ないようになっているため、赤ちゃんのお口を鍛える効果が期待できます。

通常の哺乳瓶だと赤ちゃんが飲みやすく、簡単に飲める仕組みになっているため、赤ちゃんが舌やあごを使わなくなり、正しく発達ができません。結果として、舌の位置が下がり「低位舌」(ていいぜつ)という状態になってしまう可能性があります。低位舌は、顔立ちや噛み合わせ、歯並びの悪化、口呼吸を誘発してしまいます。ミルクで栄養を摂取する場合は、哺乳瓶にこだわることでお口を育てることができます。

 

【離乳食を始めるタイミング】

母乳やミルクの次は離乳食が始まります。

赤ちゃんには無意識に出る反応や姿勢があり、それらは原始反射(げんしはんしゃ)と呼ばれています。赤ちゃんの口元にスプーンを近付けると舌で押し返すという動きも原始反射の1つであり舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)といいます。これが少なくなったタイミングで離乳食を開始していきます。

原始反射には個人差があり、舌挺出反射が強く残っているうちから離乳食を始めてしまうと、間違った飲み込み方が癖になってしまったり、食事が嫌いになったりする可能性もあります。よく観察しながら離乳食をスタートしてあげてください。

 

【離乳食初期】生後5、6ヶ月頃

5~6ヵ月の頃は、お口を閉じるトレーニングです。

液体に近い離乳食よりも、舌の上に少しとどまるくらいとろみのあるペースト状から始めるようにしてください。

保護者は、下唇の上に離乳食の乗ったスプーンを当てるだけで、赤ちゃん自身が口の中に食べものをとり込み、飲み込める位置まで運ぶ練習をします。スプーンを上くちびるや上あごに押し付けないように注意してください。

 

【離乳食中期 】生後7、8ヵ月頃

7~8ヵ月は、舌と上あごを使って食べ物をつぶすトレーニングです。

柔らかくした野菜などを大人の指で簡単につぶせる程度の固さにしてください。子どもが舌で簡単につぶせない硬さのものは、丸のみしてしまう恐れもあるので注意が必要です。この時期から「噛む・潰す」といった習慣をしっかりと身につけることで、歯やあごの発育だけでなく、脳の発達や全身の健康に良い影響を与えます。

また、お座りを一人でできるようになったら、ベビーチェアなど使用し、足が床などにつくような形で座って食事をするのがおすすめです。姿勢が安定することで、あごや舌に力が入りやすくなり、より発育を促すことができます。

 

【離乳食後期】生後9~11ヶ月頃

9~10ヵ月の頃は、奥歯が生えてくる部分の歯茎で噛むトレーニングの期間です。

この時期は、まだ奥歯が生えていませんが、奥の歯茎で食べ物を噛む練習をします。バナナぐらいの柔らかさが目安で、歯がなくても潰せるものを与えてください。柔らかすぎても固すぎても丸飲みの原因になってしまいます。

また、食べものの形や感触を手指で確認しながら覚えていくので、手づかみ食べしやすいものがおすすめです。自ら食べる動きが始まるので、姿勢にも注意してあげてください。手はテーブルに届き、足の裏が床などについた状態で食事をさせてあげるのがポイントです。

 

【離乳食完了期】生後12~18ヶ月頃

12~18ヵ月は、大人と同じような食事へと切り替える時期です。

奥歯が生えてきたらせんべいやクッキーなど、歯で噛み砕かないと食べられない少し硬めの食べ物をあげることで、奥歯の使い方を覚えることができます。奥歯が生えてくるタイミングは個人差がありますので、歯の成長を観察しながら与える食べ物の内容を変化させてください。

また、この時期は手づかみ食べの全盛期です。目でみて、手で掴んで、口に入れて自分の口に入る一口の量や食べ物の硬さなどを覚えていきます。自ら食べようという意欲を引き出すためにも、多少汚れてでも手づかみで食べさせることがおすすめです。

食べることに慣れてきたら、食材を少しずつ大きくしていきます。大きめの食べ物を前歯で噛みちぎり、奥歯で噛んで、しっかり飲み込めるようトレーニングしていきます。

卒乳が遅くなると「乳児嚥下」(にゅうじえんげ)と呼ばれる、舌を前後に動かすことで食べ物を飲み込む動きが残ってしまう可能性があります。お口は開いたままで、食べ物はこぼれてしまったり、何より飲み込むこと自体が難しくなります。乳児嚥下の状態が長く残ってしまうと噛み合わせや歯並びなどにも悪影響を引き起こすと考えられていますので、適切なタイミングで適切な離乳食を与えることが重要です。

 

【幼児期(離乳後)の食事】

離乳後の食事は、野菜、果物、たんぱく質、食物繊維などを栄養バランスのとれた食事を心掛けることはもちろんですが、糖分の摂取に注意が必要です。離乳後は、さまざまな食べ物や飲み物を摂取する機会が増えますが、甘い飲み物やお菓子の摂取は虫歯のリスクを高めてしまいます。

特に乳歯はエナメル質が薄く、大人の歯よりも簡単に虫歯ができ、虫歯の進行速度も早いと言われています。虫歯で乳歯に穴が開くと、食べ物が詰まったり、冷たいものがしみたり、痛みを感じたりするようになります。そうなると子供は徐々に硬いものや食べにくいものを避けるようになり、噛まなくても飲み込める柔らかい食べ物や食べやすい(摂取しやすい)ものを好むようになります。 それにより、噛む習慣が身に付かず、口まわりの機能の発達が遅れたり、あごが充分に発育せず歯並びが悪くなることも考えられます。また、食べ物が偏ることで、栄養バランスが崩れ、全身の発育や健康にも影響が出てしまいます。

 

近年では、子どもの肥満・高血圧・脂質異常症・脂肪肝・糖尿病(2型糖尿病)などの生活習慣病が増えています。その原因としては、運動不足や睡眠をはじめとする生活リズムの乱れなどがありますが、1番は食生活によるものです。

子供は環境も食べる物も選べません。いつ何を与えるかは保護者やご家族の選択(責任)です。子供がしっかりと発育・成長できるよう、栄養バランスを考慮した食事と糖分の摂取量や摂取頻度にも気をつけ、将来のお口を守っていきましょう。

 

👉【日本小児歯科学会】こどもたちの口と歯の質問箱

👉【小児生活習慣病】

👉【日本口育協会HP】

 

 

 

 

山形県 鶴岡市 医療法人石田おさむ歯科医院 

歯科医師・院長 石田 修 

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